ジギーはギターを弾いた
彼は巧く演った
ウィアードとギリーとスパイダーズ・フロム・マーズと
彼は左手で弾いた
だが彼は凄すぎた
特別な男になってしまった
そして 我々は ジギーのバンドだった

彼は実に歌っていた 眩しげに細めた目をして 巻き毛を垂らして
あたかも日本から来た若者のように
彼はその微笑みによって人々を打ちのめすことも
彼らを宙吊りのまま置き去りにする事も出来た
さあ! 酩酊の男 逸物の 純白に色褪せた

それにしても蜘蛛たちはどこにいたんだろう
蠅どもが我々のパーティをぶち壊しにしようとしていたときに
ほろ苦い光しか導きもなく
我々は彼のファンについてけちを付けた
我々は彼の美しい手を砕いてしまえば良かったのだろうか?

ジギーは持ちこたえた
我々をブードゥー信者だなどとからかいながら
子供達は本当に愚かだった
彼はナザレ人だった
ロバを与る神の近くに

彼は何もかもを受け容れすぎた
だが ああ 彼はギターを弾くことが出来たのだ

自我と愛を交わし ジギーは自身の意思に吸い込まれていった
忌まれた者の救世主
子供達がその男を殺してしまったので
私はバンドを解散しなくてはならなかった



※god given ass は尻に耽る神とも受け取れる


ziggy stardust
album ziggystardust 1972
大意協力:Mi.Y
屈折した星屑 

このアルバムのtitleroleであるziggyとは何者なのか。
彼は人型をした一巻きの神話であった。
神話が、それ全体で一つの神格を表すように、だが
その万神殿に数多の神がひしめくように、私にとって
ziggyは一人の男の形をしているのにも関わらす
単一の性格を持った個体ではないのだ。

私は彼を神格化し理想化し、そういった意味で自らの中に生じた
誤謬を育ててきた様な気もする。
私の誤ったziggyを。だが、私にとってはこの上なく正しいziggyを。

だが、未だ生き続けているこの神話は、それを世に顕した人の中に
現在も万神殿の如き曖昧な輪郭を保ち続けながら存在しているように思えてならない。
2000年のライブでこの歌が歌われたときの興奮を思い出す。

それは私の目を醒ます。そして私の中の誤った神話を更新する。


その恐ろしい前奏が始まると
生きた心地がしないほど。